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アラフィフパパの気ままなblog

仕事の話「旅行業界」のいま | #StayHome

皆さん こんにちは
今日は珍しく仕事に関係することをテーマにしてみたいと思います。
私、nomad の本業は旅行業。(海外旅行を軸にしています)

例年であれば多くのお客様が世界各国に出発されるゴールデンウィークも終わり、次の大型連休に向けて準備を進めている頃。 ただ今年は過去経験したことのない状況が旅行業という枠組だけではなく、観光ビジネス全体に影響を及ぼしさまざまなサービスが窮地に陥っているのは間違いありません。

それでもサービス提供の事業者やご利用いただくお客様から日々応援のご連絡をいただき私たち旅行会社も今後のリカバリーに向けて少しでも正しく有用な情報を発信できればと考えます。

いまあるお問合せ TOP 5

緊急事態宣言が出てから営業店舗は臨時休業としておりますが、ご出発済みや予約中のお客様に対しては在宅で最小限の対応をさせていただいてます。
その状況下で多いお問合せをまとめてみました。

順位 お問合せ内容
1位 予約の変更・お取消しについて
2位 渡航国の感染者状況や出入国条件
3位 フライトや宿泊ホテルのサービス状況
4位 保険適用の範囲
5位 ご新規 ご旅行予約相談
以上の通り順位は付けましたが、予約の変更・お取り消しが大多数を占めています。 外出自粛に伴い国内の移動もままならず海外旅行となれば当然の話ではあります。 そこで取消に関してだけではなく旅行申込において注意すべきポイントを簡単に説明していきます。




旅行を申し込む前に確認すること

初めに、申し込まれた旅行が「手配旅行」または「企画旅行」のどちらなのかを確認しましょう。

企画旅行とは(※募集型企画旅行)

旅行会社があらかじめ旅行の内容と代金を定めた計画書を作成し、パンフレットやインターネットを通じて募集を図る旅行のことで一般的にはパッケージツアーの名称で知られている旅行形態となり、旅行会社は

  1. 募集に当たる旅行計画に沿った手配を請負う
  2. 旅程を管理する義務を負う
  3. 重要な旅程の変更に対して一定の範囲で補償する(旅程保証制度)
  4. 旅行者が旅行参加中に被った生命、身体または手荷物について一定の損害を補償する(特別補償制度)
手配旅行とは

航空券やホテルなどの手配を旅行会社がお客様に代わり手配を引き受ける委任契約となり、旅行会社は

  1. 企画旅行とは異なり手配という事務処理を行えば債務は完了
  2. 旅行会社には旅程管理の責務はない 

※例えば航空便の欠航やホテル、オプショナルツアーなど旅行中のトラブルは旅行者自身が自己責任で対処することとなる。

上記のように契約された旅行形態により旅行会社と旅行者、それぞれが負うべき責務が変わってきますのでこの違いを認識し契約をすることが最初のポイントです。

ちなみに旅行会社が定める約款、条件は旅行業法にのっとり制定され会社ごとに多少異なりますが、おおむね同じと考えて構いません。
標識、各種約款、その他 JTB
H.I.S. 旅行業登録票、旅行業約款、旅行条件書
標識・各種約款・その他│近畿日本ツーリスト
ただし旅行業務取扱料金(表)はそれぞれの会社ごとにその内容や金額が異なります。 
一つの会社でも店頭とインターネットでは取扱料金が異なることもありますので事前に確認が必要です。

ここでのポイントは旅行代金の安い高いだけで判断するのではなく「旅行申込=契約」の考えのもと各旅行会社定める約款、条件手数料などを店頭であれば口頭の説明と書面で確認、インターネットであれば契約前に必ず表示されるご一読くださいなどを確認することが大切です。

変更・取消しのポイント

先に説明した「企画旅行」と「手配旅行」によって違いがあります。
ざっくり言うと

【企画旅行(海外) 変更・取消しのポイント】
企画旅行には変更という概念はないと考えてください。 申込後にに日程やホテル部屋タイプなどを変更したいというご要望をいただきますが基本は全て取り消しの上、再度予約をし直すという手続きとなります。
この際に発生する取消料は以下が一般的です。

  • 通常期 出発の前日を1日目と起算し30日前より発生
  • 繁忙期 出発の前日を1日目と起算し30日前より発生

つまり通常期であれば30日前までは取消料が発生しません。
※取消料対象期間に入ると出発間際になるほど取消料は高額になります。

【手配旅行(海外) 変更・取消のポイント】
例えば手配旅行でハワイにいく予定を立てて手配を依頼したとします。

  1. 航空券
  2. ホテル
  3. 送迎
  4. オプショナルツアー

まず初めに原則として1〜4全てに対して手配依頼時、変更時、取消時に定められた取扱料金が発生します。まずはこのポイントをおえてください。
※取扱料金は手続きに対する対価になるため返金されるものではありません。

続いて変更・取消料ですが例えば航空券の場合
1年先の出発であったとしても予約時にさまざまな条件がつきます。
【予約と購入の一例】

  • 予約と同時に航空券の購入(発券手続き)が必要
  • 予約後3日(72時間)以内に購入(発券手続き)が必要
  • 予約後出発前日までに購入(発券手続き)が必要

【変更と取消の一例】

  • 変更不可、取消可(払い戻しなし)
  • 変更可(有料)、取消可(取消料を差引き返金)
  • 変更可(無料)、取消可(全額返金)

このように条件が複雑かつ取消したタイミングで取消料が異なることもありますので手配依頼前に条件を正しく認識しておくようにしましょう。

緊急事態宣言下のいま

旅行業は平和産業とも言われることがあります。 日本そして旅先となる世界各地が平和でないと産業は成り立たず、過去2001年9月11日のアメリカ同時多発テロの際に世界の空路が一時的な混乱に陥りましたが今回のように世界規模でウィルス対策を行った前例に覚えがありません。
そのため今回は各旅行会社または各サービス会社によって対応に差があるのも事実ですが次の原則や実情を知っておくと良いでしょう。

企画旅行の返金対応

  • 旅行開始前の取消による払い戻しは取消の翌日から起算して7日以内
  • 旅行開始後の取消による払い戻しは予定された旅行終了日の翌日から起算して30日以内

※企画旅行は渡航先の旅程を管理する責務があるため今回のような情勢においては旅行会社が事前にツアーキャンセル(解除)の対応を取らせていただくことがあります。
ツアーキャンセルとは外務省が発令する危険レベル2(不要不急の渡航はやめてください)以上に該当する場合対象となります。この場合にはご旅行前日であったとしても取消料なくツアーが解除されます。(ご旅行代金の全額返金)

手配旅行の返金対応

手配旅行における返金に関しては企画旅行のような期日が定められておりません。 ただし商法の通例として返金は債務そして債権の移行に伴い速やかに行われるのが通例と考えていただいて構いません。

お金の流れ お客様 旅行会社 A航空会社
航空券 10万円 → 10万円 → 10万円
払い戻し(取消料なし) 10万円 ← 10万円 ← 10万円
払い戻し(取消料 1万円) 9万円 ← 9万円 ← 9万円
通常のお金の流れは上記の通りです。
お客様への返金は取消手続きを行い、航空会社が旅行会社へ返金手続きを承認したあとになります。
今回のコロナにおける対応は通常とは異なることが多々ありますので注意が必要です。

  • 取消料を支払って解除した場合 : 通常であれば取消手続きを行った当日〜翌日にはお客様へ返金を行う段取りに移りますが今回は航空会社からの返金処理完了が大幅に滞っており実際1月末〜現在まで返金ができていないケースも発生しています。
  • 取消料減免を行って解除した場合 : 減免となるケースにも条件はありますが取消料を減免し全額をご返金する場合には航空会社によりそのルールが異なります。 例えば世界的に有名なユナイテッド航空の場合、航空券発券日より12カ月経過後から返金手続きとしています。

この対応が果たして速やかと言えるのかは苦々しく考えていますが旅行会社も航空会社の手続きが完了しない限り返金したくても手続きに移れないというのが現在の状況です。

正しい情報を収集しましょう

旅行に関わることは旅行会社へ問い合わせをしてくださいと言いたいところですが現在の運営を考えると情報収集は各公式ホームページから収集をしていただくこともお願いします。

企画旅行について

旅行会社が企画・募集を行っていますので申し込みをされた旅行会社へ連絡をしましょう。 電話がつながらない場合には窓口のメール(履歴が残るため)やFAX(受信エラーがあるのでメールができない場合)で問い合わせ内容を明確に送信しましょう。

航空券について

フライト状況などは航空会社の公式ホームページで確認しましょう。
旅行会社で発券済みの航空券の変更や取消はお申し込みした旅行会社へ電話・メール・FAXでお問い合わせください。

ホテルについて

ホテルのサービス状況などは公式ホームページで確認しましょう。
旅行会社で申し込み済みの宿泊予約の変更や取消はお申し込みした旅行会社へ電話・メール・FAXでお問い合わせください。

安全情報について

www.anzen.mofa.go.jp

www.jata-net.or.jp

外務省が定める海外安全基準抜粋

左:危険情報レベル 右:感染症危険レベル

TVやネットニュースが全てではない

世界の状況に関して日々TVやネットニュースで報道がされていますが全てにおいて情報元がどこなのかを大切にしています。 特にSNSで周知されるニュースは情報元が不明瞭であるにも関わらず身近な知人友人が発信していたと言うことで安易に信用してしまいます。
このような時だからこそ情報の発信元やリアリティを大切にしていただければと思います。 ちなみに旅行会社では海外に多くの支店網を持っているHISさんのブログが今に関わらずタイムリーな現地情報を発信しているので同業者として有効に活用させていただいています。
blog.his-j.com

まとめ

日本が承認している国数は195か国(日本を含め196か国)

  1. 日本からの渡航者や日本人に対して入国制限措置をとっている国・地域(184か国/地域)
  2. 日本からの渡航者や日本人に対して入国後に行動制限措置をとっている国・地域(65か国/地域)

※令和2年5月7日(午後6時時点)
世界で一番海外旅行ができると言われてきた日本のパスポートを保有する私達でさえこのような状況です。
旅行とは、「ケ(褻)」の中の「ハレ(晴)」と考えてきましたが日常である「ケ(褻)」が何だったのか遠のいてしまわないよう、また近い将来、旅行や観光を通じて世界と繋がり、文化を維持していける日まで本業にも力を注いで行かなくてはと考えます。

リカバリーのタイミングでは世の中に各種面白い企画が出てくると思いますので、業界にある情報をかいつまんで発信していきます。

ちなみに今の状況で旅行を申込されるのであれば、旅行会社が企画・募集をしている企画旅行をオススメします。 理由としては絶対的にお客様が守られる環境が整っているからです。 


最後までこの記事をお読みいただきありがとうございます。 
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